そのムカシ、ここいらが今よりももっともっと洋食不毛の地であった頃。
一軒のトラットリア的イタリア料理屋さんは、ここいらの奇跡だった…。
スパゲッティと言えばミートソースかナポリタンのお土地柄に、ペペロンチーノとかボンゴレとかカルボナーラとかジェノベーゼといったイタリア的なるモノを紹介し、アルデンテの概念をここいらに知らしめたのもそのお店だった。
特にそのお店のボンゴレ・ビアンコは絶品で、物心がついてから“カンペキなる乳化”とはあのコトであったか…と、思い至ったほどだ。
始めは洋食不毛の地で悪戦苦闘していたそのお店も、次第に大きくなってだんだん味が変わっていって、次第に足が遠のいて行ったのだが、ある日、そこのシェフが店をたたんで再び修行の旅に出た、と聞いた。
しばらくして、ここいらに新しいイタリアンのお店が出来た。
名前を聞いた瞬間、なんだかなぁ…感をぬぐえない、某映画のタイトルにもなった南イタリアのある町の名前が付けられたそのお店のシェフというのが、まさかその人だったとは…。
店名ですっかり食指がショボボン…ではあったが、気を取り直してランチに行ってみた。
ランチコースは1000円前後で、選択肢の幅がヒッジョーに少ない。
アラカルトが全くないというのがいただけない。
ガレットだのキッシュだのと、南イタリアというよりはフランス的な匂いのするそのメニューの本日のメインは、コショウダイのヴァン・ブランソースとなっていた。
う~ん、イロイロ考えるわぁ…。
料理に使うワインがフランス産だからヴァン・ブランのソースなのかしら…。
で、結論から言うと、アレだ。
そのシェフは、厨房に立ってはいたが、ほとんど現場監督さん的な存在で、パスタとか作っているのはうら若いおねぇちゃんたちだった。
ワタシはキッシュを食べたのだが、お隣のパスタを覗いてみると、だ。
イタリア料理屋さんのパスタぢゃないのよね…。
モトがここいらの奇跡だっただけに、なんだかとっても複雑な気分だわ。
ワタシがお金を出してお外で食べるパスタに厳しいのは、幼児体験としてその奇跡に遇ったことが最大の要因であると思っている。
なので、色あせた奇跡の残像を突きつけられると、非常に辛いのだ…
夜行けば、もちっと違うことになるのかしら…。
非常になんだかなぁ~なキブンになってしまったので、翌日のお昼は花園食堂の季節野菜のパスタ。

いただきものの畑直送アスパラガス・玉ねぎ・エンドウと、女王さまお手植えのベビーリーフ、そして特価98円のアボガドで、カルディの98円トマト缶を使ったソースのフェデリーニ。
パルミジャーノもフツーのモノで、その他の材料費も低く抑えられてはいるが、ディチェコのパスタにバルベラのオリーブオイル使用なので、けっこう原価はかかっている。
本当は、もっとオリーブオイルを使いたいのだが、如何せん最近またまた成長期で、ちょっと考えんと、ね…
ではあるのだが、でも、よ。
美味しくないわけ、ないぢゃん。
イタリアンって、オウチで作っても結構美味しくできるだけに、プロには厳格にプロとしてのシゴトが要求される厳しい世界だと思う。
ちなみに、今まで食べたパスタの類で一番美味しくなかったのは、何度も言ってる気がするが、ローマで適当に入ったトラットリアのカルボナーラだった…。
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