平凡な日常の崇高なラブストーリー~そこのみにて光輝く~
モントリオール世界映画祭で最優秀監督賞受賞ということで、まずはおめでとうございます。
…というか、この映画。
ワタシが今生はじめて映画館へ3回観に行ったという大好きな映画なので、とっても嬉しいんですけど…。
そう、わざわざ用事作って空飛んでおマチへ行って、朝一で爽やかにR15指定の映画を観たんです。
ここいらで初日の日は、たまたま用事で海越えの日だったものだから、その翌日帰りがけに観に行ったら、たまたま1100円の日だったりしてラッキ~
そんで、たまたま空飛んでおマチへ行くことになってたその日がアンコール上映の最終日って、マジそれ?で、これまたラッキ~
もっと恵まれた上映環境にいたら、少なくともあと2回は行った気がする…。
そして、BD・DVDの予約開始日に即行豪華版BDを予約し、モントリオールでいいことあったらいいな…で、ずっと楽しみにしていた今日この頃…。
受賞のニュースに予告編見直して、ヤバい…。
あまりにせんないストーリーだと分かっているが故に、溢れ出る涙を止めることが出来ない…。
予告編だけで感動できるこのクォリティ。
日本映画の「光」です。
モントリオールでは、主演がやっぱり不思議くんの通常運転で、質疑応答では何時ものように、日本語で聞いても良く分からないポエマーなお答えで…。
通訳さんタイヘン…とか真剣思っていたりしたのだが、いやいや、メデタシメデタシ。
受賞のニュースは、某大手配給の名だたるスポンサーがいっぱいついた門戸の広い映画に全部持って行かれた感があるが、宣伝広告費をカンパで一生懸命集めていた作品が、総勢29人の大所帯でモントリオールへ行けたのだ。
…感無量。
と、いうことで、3回見たのに実はまだ、ちゃんと感想まとめてなかったこの映画。
しばしば底辺を描いた…などと言われるが、決して特別な事情を描いているわけではない。
パートで働きながら、夜はもっとハードな肉体労働で家計を支える姉。
傷害の前科があり、姉の愛人が経営する植木屋で小遣い稼ぎをする弟。
夫の介護に疲れ果て、パチンコに逃避する母。
寝たきりで色欲絶賛倍増中の父。
デフォルメされてはいるが、ちょっと薄めると決してそう特殊なわけではない家族。
いや、そんなこと無い!
そう思ったとしたら、それはあなたが人よりもちょっと恵まれていると、そういうことだ。
非正規雇用の安定しない収入。
逸脱者に残酷な社会システム。
老人介護と家族の疲弊。
人間としての尊厳。
抜けだそうにも抜け出せない貧困スパイラル。
今やそのどれもこれもが、どこの御家庭にもある日突然に突きつけられるかもしれないありふれた問題。
むしろ、佐藤泰志が告発したある種の問題は、映画化するにあたって希釈され、ほとんど姿が見えなくなっている。
海辺に立つバラックも、もっと狭くてみすぼらしいリアルを知っているヒトは、大勢いるはずである。
そこいらで幅を利かす下種なプチブルだって、ああ~、あんなカンジね、と思い浮かべる顔の一つや二つ、御近所さんや町内会のお付き合いが全くない都会の単身世帯ででもなかったら、心当たりがあろうというもの。
一身上の都合で仕事を止めて、引き籠ってるいい年したおにぃちゃんだって、ああ!あの人もそうだわ!と、思い当たる人がちらほらいたりする今日この頃。
他人事ではない、特殊事例でもない、極普通に何処にでもありうる、ちょっぴり刺激強いけど平凡な身の上話。
そんなお話のヒロインは、掃き溜めで臭いものに蓋をして、心を殺して生きてるシンデレラ。
王子さまというのが、仕事もせずに嗜好依存で飲んだくれてるダメ男。
(とはいえこのダメ男、発破技師の資格があるようなので、ちょっとアドヴァンテージ有り)
この二人が出会って、何故か“愛”が育ってしまうという、不思議な不思議な物語。
“愛”。
なんて偽善と欺瞞に満ちた言葉…。
つい、そう思ってしまう、人生の垢で薄ら汚れた心が恥ずかしくなるような、ブリリアントな輝きを放つ、その美しい感情。
それが、この映画のメインテーマ。
女のすべてを呑込み、受け入れようとする男に、女は次々と試練を投げかける。
躾の出来ていない犬のような女の弟が、愉快ないたずらでこれに絡む。
無いものねだりの憐れな男が、地位と暴力を振りかざして二人の前に立ちはだかる。
切ろうに切れない家族の絆が、柵となってなって日常を蝕む。
果たして男は、試練に打ち勝ち本当の“愛”を貫くことが出来るのか?
本当の“愛”。
それこそがウソ。
そんな現実はしばし忘れて、すべての女子は達夫の打算のない“愛”に酔うべし。
すべての男子は千夏の計算のないツンデレに酔うべし。
腐女子のみなさんは…それもよろしいかと![]()
アニキがいい方もお楽しみになれ…るかも![]()
取り敢えず、本日はココマデということで。
…あと3回くらい、なんやかやとブツブツつぶやく予感…![]()
取り敢えず、BD届いた時と、アカデミー賞関連は確定、他は随時なカンジで。
あ、アカデミー賞って、日本アカデミー賞ぢゃないですから![]()
いやいや、Vasko Vassilevさんが、初日舞台あいさつで「モントリオールの次はオスカーの授賞式で…」なんて仰ってましたが、それを鼻で笑ったヒトも多かった…というか、そんなことがあったというか、こんな映画があったことも知らんヒトの方が多かったと思いますが…。
それが、まさか…でなくなる日が来ようとは…。
感無量…。
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